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ときどき夜になると電話が鳴る。 アリスからだった。 「もしもし?」 「慎一…寂しいよ…側にいてほしいよ…」 「わかった。すぐ行くから待ってろよ?」 電話が終わった後すぐ支度をして真下に住んでる住人の元へ向かう。 時刻は夜の11時。 「慎一。アリスちゃんから?」 「あぁ。そうだよ」 「あの子の親も酷いもんよねぇ…慎一早く行ってあげなさいよ」 「言われなくても急ぐよ」 俺の家族はアリスの事情も知ってたし、しょっちゅうご飯食べさせに俺の家に来させてたから顔見知りだったし、高校生の女の子が一人で夜を過ごす寂しさはなんとなく理解できるのだろう。 理解ある親でよかったと思う。 じゃなきゃこんな時間に外に出してくれない。 早くアリスの元へ向かわないと… これで呼ばれるのは数えきれないくらいだった。 それくらい俺は夜、アリスに呼ばれてた。        
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