No.2「記憶」

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「ゆーたーかー!」 黄色の帽子をしっかりと被る豊を、わたしは大声で呼ぶ。 「なんだよ、蓮」 黒いランドセルを背負う豊の隣をめがけてわたしは走った。 「先に帰らないでよ!」 「だって遅いんだもん」 夕焼けが顔を出す頃、わたしと豊は毎日一緒に帰っていた。 「先生がねー、ウサギの飼育係やらないかって!」 「ウサギ?俺やりたい」 「じゃあ一緒にやろう!」 帰り道も、何をする時でも、わたし達は一緒だった。 ――いつも。  
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