No.2「記憶」

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「………豊?」 帰ってしまったと思った。 置いてきぼりにされたと、わたしは思っていた。 「ウサギ小屋の掃除、忘れてただろ?全く……蓮は」 ――あ。 豊の言う通り忘れていた。 「ほら、早く。帰ろう?」 置いてきぼりなんかにされてなかった……、豊は待っててくれたんだ。 夕焼けがわたし達を包む。 二つに伸びる影、優しいオレンジ色が暖かい。 いつだって、追い付けた。 豊の隣に。  
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