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しばらく病室で待っていると、少しフラフラした足取りでA子が病室に戻って来た。
入院しとるぐらいやから、大袈裟に車椅子とかに乗せられてるかと思っていただけに、自分の足で立って歩くA子を見て、少しホッとしていた。
「大丈夫?」
俺はA子に駆け寄り、体を支える様に寄り添った
「………たい…へい?」
「あんまり無理しなくていいから。」
そのまま、ベットまでA子に寄り添った。
A子は少しため息を漏らしながら、ベットに横になった。
「泰平……ごめんね…ごめんね…」
俺に背を向けてそう言った…
震える肩に震える声から、感極まっているのが解った…
ただ、俺を見て錯乱したり、情緒不安定にならなかったのに少し安堵した
そんなA子の背中を見て、何を言ったらいいか…なんて声かけたらいいか…
こんな時、言葉を選んで話さないと…どこに地雷があるかわからない
でも…
目の前で、背を向けて泣いているA子を見たら、そんな事を考えている余裕なんてなくて…
体が勝手に動いていた。
俺は、A子の正面側に移動していた。
A子はやっぱり、歯を食いしばっていた。
瞳から大粒の涙が、これでもかってくらい零れ落ちていた。
「A子……」
俺は、出来るだけ優しく優しくと、意識しながらそっとA子の手を握った
「泰平…の…
赤ちゃん…が
ごめんね…ごめんね…」
A子は自分が悪い事をしたと思い込んでいるらしい…
事故だからしょうがないのに…
「A子……俺は怒ってないから…早く、元気になって一緒にうちに帰ろう?」
何が引きがねにになったかは解らない、ただ緊張が解けたのか…
俺の言葉の直後…
声を上げて泣いた……
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