いけいけGO!GO!

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わかっていたのに回避できなかった己が悔やまれてしかたない。駄菓子菓子。いや、だがしかし、である。 愛しい愛しいディアス君から、おめめウルウルされて、「な、行こうよぅ」などと下から可愛らしく覗き込まれて、どうして断ることができようか。否、できようはずがない。 ――かくして、二人はこの地の土を踏むことになったのである。 「お!」 突然の声に何かと顔を向ければ、ディアスは食べ終わった肉まんと飲み終わった烏龍茶の空き缶を器用にクズイレに投げ込んで、何やら嬉しそうに破顔しているではないか。 いやな予感。 「デ……」 「ディアス君の美人センサーに反応アリ! れっつご~❤」 「あ」 ……的中。 長いミツアミはそれこそあっというまに、人込みにまぎれて見えなくなってしまう。出しかけた手が、行き場を失って虚しくさ迷うヒューイには、稼動範囲はどのくらいなのか、識別はどの程度まで可能なのか、そもそも魔法を使うファンタジー世界において、センサーなんて単語が許されるのか、つっこみどころが満載すぎて、どこからつっこめばいいのかわからなかった。 見えなくなった後ろ姿を仕方なく諦め、近くの道具屋へと進行方向を変える。
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