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「うんっ! オレはいつでも元気だよんっ」
両手を振って元気さをアピールする彼に柔らかく微笑みかけ、いつもならば傍にいるはずの人がいないことに気付いて首を傾げる。
「おや、今日ヒューイは一緒じゃないのかい? 珍しいね」
「んにゃ。さっきまで一緒だった。ケド、センサーが反応したからはぐれた」
「??」
まあいい、と言葉を区切ると、今度はディアスのほうがシオンの相棒が傍にいないことを指摘してきた。
いつもならば、というか、こんな人が多いなかで彼が別行動をとるなんて、珍しいこともあるものだ。以前会った時には、シオンに近付く人間には男女問わず眼をつけてはシオンに窘められて(というかシオンの持つ、物理攻撃力+二百五十はありそうな杖で殴られて)いたというのに。
キョロキョロと不思議そうに辺りを見回すディアスに苦笑しながら、紅茶を一口。人がごったがえすオープンテラス型の喫茶店で、そこだけが別世界のように和やかな雰囲気だ。
「あいつなら、買い出しに行っているよ。君も見たんだろう、あの高札」
「うん。シオンもやっぱアレなんだ?」
テーブル上のお菓子に手を伸ばしながら聞くと、
「まあね」
と笑ってみせる。
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