心と髪

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心と髪

早朝、午前6時15分。 俺の一日は商店街の 一角にある、 3DKのアパートから始まる。 「ナオキ君は、今日から 中学二年生だーねー、 私もー、社会人二年生ー! いえーい!」 朝っぱらから テンションが高い この従姉は、 台所で料理していた俺に、 クリクリした眼を向けて、 笑顔でハイタッチを 求めて来た。 はだけたパジャマのせいで、 眼のやりどころに困る。 「いえーい」 俺は左手で従姉の両手に、 一回づつハイタッチ してやった。 ぽんぽんっとね。 ……あ、 今のタッチした衝撃で、 卵を割り損ね、 器に殻が入ってしまった。 片手割りなんて 横着しなきゃ良かったな。 「あっらー? なんかー元気なーいぞー? あっらーなんて言ったけーど イスラム教徒じゃなーい ぞー?」 そんな事を言いつつ、 俺の顔を下から 覗いてくる従姉。 頼むから頭が回転してない 早朝にそんな事言って 混乱させないでくれ。 可愛いから許すけど。 「これでも 元気百倍ですから、 料理の邪魔しないで 下さいよ、わかば姉さん」 「あいあいー」 素直に俺の言う事を聞き、 テーブルが有る居間に 戻って行った。 「卵はスクランブルで いいですよね」 厚焼きがいーなーとか、 そんな声が聞こえたので、 面倒だったが従う事にした。
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