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俺のあだ名はホトケだ。
そう呼ばれる原因の
1つ目として、
柔和でタレ眼なこの顔。
というかニヤケ顔。
そして2つ目、
長い付き合いの
友人にすら敬語、
従姉のわかば姉さん
にすら敬語。
もちろん、
今は亡き両親にさえ
敬語だった。
最後に3つ目、
京都に有る大きな仏像の
如く天然パーマである事。
以上だ。
「おはようホトケ!」
「あ、おはようございます」
わかば姉さんが出勤した
数分後に家を出て、
通学路を歩いていた所、
後ろから、マスクと
軍手を装備した男に
肩を叩かれ、
朝の挨拶をされた。
「やっぱ都会は駄目だな。
空気が汚れててマスクが
手離せられねえ」
「そんなの君だけ
ですよ、タケル」
コイツは
神経質で潔癖症で、
常にマスクだけでなく、
軍手をも着用している。
そうでないと他の人間すら
触れないというヤツだ。
ちなみに、
一部の女子は除くらしい。
まあもっとも、
こうなった原因は、
俺にあるんだがな。
「いやさ、
昨日まで田舎行っててな。
都会の空気がいかに
薄汚れてるか分かるわ。
もう田舎の学校に
転校したいくらいだぜ」
「そうですか」
俺に触ってもらえる事を
光栄に思えとか
聞こえたのは、
気のせいだろうか。
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