1人が本棚に入れています
本棚に追加
その中で玉座に向かって走っていく者がいました
王子様です
彼が
「父上、お目を覚ましてくださいませ」
というと王は奇妙な笑みを浮かべながら息子を抱き抱え
その純真な胸を玉杖で貫いてしまいました
朱い血が階段を伝った頃には
将軍達はもう火をつけ始めており
城下は今までにない程荒れていました
王の虚ろな眼は息子を捕らえることなく
ただぼんやりと
禍々しい朱に染まりゆく
空をご覧になっておりました
最初のコメントを投稿しよう!