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「サタンよ、手紙を届けてくれないか、おこづかいが欲しいじゃろ」
サタンとはルシフじいさんが飼っている黒猫のことだ。
「えー、人間界に行くのかい?」
ここは魔界。どこからともなく手紙が魔界に雨のようにわんさか落ちてくる。毎日だ。
それを拾い集め、次元の狭間より出て、人間界のダレカに手紙を届けに行く。それがサタンのおつかいだ。
「あぁ、小さなお前を人間界に行かせるのは、わしも心苦しいが、サタンよたのむ」
サタンは3歳になったばかり。やっと背中のコウモリの翼で空を飛べるようになったばかり。
「う~ん」
眼を閉じて考えている。
「だめかのぅ?」
ルシフじいさんがサタンの頭をなでて訊いてみた。
「……わかった」
体は少し震えていたが、明るい表情を浮かべ、元気よく答えた。
「おぉ! そうかそうか、ありがとう……おまえさんががんばっとる間に仲間を呼んでおこう……そうじゃな、犬がいいな」
「いぬ! こわいよ」
「まあ、頼りになるヤツじゃて、さあ、行ってくるんじゃ」
というわけで、サタンは今日も手紙を届けに人間界と魔界を行き来している。
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