イシュタル

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「ああ、大丈夫か……。まったく、驚いた。この吹雪の夜にそとをうろつくなんて、あんた、気はたしかかね」 ダンは、ホッと息をついて、女に話しかけた。 女は、ダンを見上げて、「ありがとうございました」 と、ほそい声で礼をいった。 「あんた、荒れ野を歩いてきたのかね」 「……はい」 「何て無茶を!」 「私は……」 女はなにか言いかけたが、思いなおしたのか、強く唇をむすんだ。 「まあ、いい。ここは宿屋だ。あれこれと訪問客に問い質すことはない。 具合がよくなったら、部屋まで案内するよ」
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