恋人

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  仕事中もマユミの言葉が気になってはいたが、今日は発注した商品が納品されたり、新色のテスターの入れ替え作業などに追われ、いつの間にか忘れてしまっていた。     時計を見ると19時40分。     『やばっ!』     慌てて片付けをして帰り仕度をする。   急いで車に乗り込み待ち合わせの場所に向かって車を走らせた。     ショッピングモールの駐車場に車を停めて喫茶店に向かって走った。   建物の入口の上にある大きな時計を見ると、すでに10分が過ぎていた。   息を切らせて喫茶店に入ると奥の席に座っている彼を見つけた。     『ごめん、遅くなっちゃった……』   『あ、うん』     なんか、いつもの彼と違う?     向かいの席に座りコーヒーを頼む。     『遅れたの怒ってる?』   『いや、そうじゃなくてさ……』   歯切れの悪い彼を見ていて、会うのをやめようとでも言ってくるのかと考えた。   それならそれで仕方ない。    今までにもそういう事は経験している。    まだメールや電話じゃなく、直接会って言うだけ誠実じゃないか。      彼は目の前に置かれてたグラスを持つと一気に中の水を飲み干した。   そして大きく深呼吸を一つしてから口を開いた。    『志帆、俺と付き合って下さい!』   『へっ?』  
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