変わらない青空

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「先攻、貰って良いか?」 慧の訊いに、大学生達は余裕の表情を浮かべながら頷くと、ボールを慧に投げ渡す。 ショートパンツにTシャツの咲に、ラフな格好な少女。 「君、名前は?」 「橘…瑞希(たちばな みずき)です」 先程の口調は何処に行ったのか、少女は優しい口調で返す。何でも瑞希は、弟が絡まれていたため助けに出たのだと言う。 「そっか、俺は慧。で、こいつが彼女の咲、呼び捨てで構わないよ」 「はい…あ、ありがとうです」 俯きながら、蚊の鳴くような声で呟く瑞希。 咲は、そんな瑞希に手を差し出し握手を求める。応じる瑞希。二人が握手をしている最中、大学生三人組の準備が出来たようで、コート上には六人の選手が集う。 外野からは、「やれやれ!」との煽りが起こる。 「ちょっと、確認」 慧はそんな中溜息を吐きながら、大学生に目をやる。 「あんたら…年上?」 「俺らは旭河(あさひかわ)大学の三年だ」 その言葉を聞き、咲、そして外野に居る人々の表情がハッとする。 「旭河って、冬季選抜ベスト8の……?」 「くくく…そうだ」 茶髪のロン毛。 金髪のロン毛。 ただの坊主。 三人ともニヤニヤしながら、言ってやったとの表情をする。 不安な表情を見せる咲に瑞希だが、慧の表情は揺るがない。 「どうでもいい。年上なら――手抜かなくて、良いよね?」 ニヤリと笑う慧。まるでその笑みは不適で、大学生は更にキツく慧を睨む。 「強がりもそこまでだ…来い」 大学生達はそう言うなり、それぞれがディフェンスの構えを取る。 「咲、中は危ないから――スリー頼んだぞ」 咲は、ああ見えて選手時代、地元中学の得点王ても呼ばれた実力者。今は肘の怪我によって、マネージャーへと転向したが、実力は確かなもの。 「瑞希はバスケ経験…」 「あるです!」 「ポジションは――…フォワードかな?」 その慧の言葉に、瑞希はハッとする。 「な、何で分かったですか…」 「その理由は後。さ、早く始めようか」 そう言う慧は、ボールを二度三度弾ませると、大学生に投げ渡す。 大学生はそれを返す。 そして――年の差離れた三対三が幕を上げる。
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