変わらない青空

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咲と結衣が振り返ると、そこにはまだ朝方だと言うのに、キリッとした顔つきの少年五人に、若々しくも少年達よりは歳を取っていそうな女性。それに加えて小さく、可愛らしい表情をした少女が一人の七人が立っていた。 恐らく、人数からして明昭高校であろう。 咲が微笑みながら挨拶をすると、結衣がアップ中のメンバーを呼ぶ。 その結衣の大声に、部室にて待機していた滝原も姿を現す。 「明昭高校です、今日は宜しくお願いします」 身長は慧と同じくらいか、優しそうな表情をした少年が、その容姿に似つく優しい口調で先頭の慧に挨拶をする。 「宜しく。聖城高校の神藤 慧だ。慧って呼んでもらっていいから」 全国一の主将。 その貫禄に、挨拶をした少年の周りに居る少年達は、少しばかり表情を苦しくさせる。 「橘 翔(たちばな かける)です。カケルで構わないです」 カケルはそう言うなり、手を差し出す。慧は笑顔を見せながら握手を交わすと、口を開く。 「よし、スタメン以外はアップに戻れ!!!!」 静かな体育館に響き渡る、威厳ある声。先程から慧の貫禄に緊張感を見せないでいたカケルでさえ、表情を強ばらせる。 慧の言葉に、動き出すベンチメンバー。残ったのは慧に蓮、龍斗に月野に純希、咲と結衣、若菜。 「顧問の滝原です。今日は良く、お越し下さいました」 明昭高校の顧問らしき女性を見つめながら、聖城の指揮官滝原が口を開く。 「顧問の酒井(さかい)です。こちらは学ばせて貰うことが多いでしょうけど、全力でやらせてもらいますよ」 思わぬ、相手顧問からの言葉。驚く明昭のメンバーに、真剣な表情の聖城メンバー。 相手顧問酒井は、言った相手を自覚したのか少し動揺しながら俯く。 「その意気なら、面白くなりそうですね」 そんな酒井に気を遣ったのか、無意識なのか、咲が口を開く。 「じゃあ、こっちへ」 慧は、明昭が今日使う控え室へと明昭メンバーを案内する。 「お前でけーなー! 名前は?」 そんな列の後方。恐らく明昭で一番大きいであろう人物に、龍斗が声を掛ける。 「大橋 尚哉(おおはし なおや)です。ナオって呼んで下さい」 ひょろひょろとした体格に、病弱そうな少年はそう口を開く。
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