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「んー、強いかな」
少しばかり考える純希だが、普通考えることなど無い筈で、真顔ながらタクに言い返す。
「随分ストレートなんだね」
「まぁ、隠せない事実だし」
そう言いながら、舌を出し笑って見せる純希。
「何か緊張がほぐれたような、気がするよ」
「そりゃ、良かった」
純希の和みある対応に、タクの人懐っこい生活。上手くマッチしたのか、互いの性格は反発することなく、会話が進んでいく。
「あー、じゃあここね」
先頭の慧が、部室の扉を開けながらカケル筆頭とする明昭メンバーに口を開く。
「「「「はい!!」」」」
カケル以外のメンバーは、見事息のあった"はもり"を見せる。
苦笑するカケルに、小さくも温かみのある笑いが通路に起こる。
「じゃあ、コートで」
慧が部室入っていく明昭メンバーに声を掛けるなり、聖城メンバーはコートに向かって歩き出す。
「皆、行動早いな…」
一人取り残された慧。早く戻ろうと、横転して歩き出そうとした瞬間――何者かにぶつかる。
「だ、大丈夫?」
慧が下を見ると、そこには小柄の何とも可愛らしい少女が、手にしていた道具諸共尻餅を着いていた。
「大丈夫――です! あ…神藤さん!!」
その少女は慧を見るなり、驚いた様子で慧を見つめる。
「俺の顔に何か――」
「インターハイ、見てました! 優勝おめでとうございます」
まさかの今日敵のマネージャーであろう者からの、祝福の言葉。素直に受け取っても損はないと「ありがとう」と残す慧。
「あの、名前…」
「あ…遠藤 遥(えんどう はるか)です」
遥の自己紹介に、微笑む慧。遥はカケルと変わらない身長の慧を、ただただ見つめるばかり。
「遥ちゃん、コートでね」
流石に長居はまずいと、足早にその場を後にする。その際に、遥に手を振る慧に遥は会釈をする。
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