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「さぁーて、レギュラーアップだ!!」
慧の言葉に一年軍団は、即座にコートから出る。二、三年の計十六人は長い列を作る。
「二対二!」
次にも響き渡る慧の声。大き過ぎる他メンバーからの反応を背に慧、蓮ペアは、龍斗、月野ペアに挑んでいく。
「スクリーン!」
蓮のスクリーン。慧は、蓮が言い終わる前に龍斗を抜き去ると、龍斗にスクリーンを示唆した月野と対峙する。
「カバーオッケー!」
月野が言い放つ。元々試合経験があった月野。だが、慧達の前には実力を開花できずに、年月は経っていった。
そして今年。彼は、得意の柔らかなプレーに、高い跳躍を武器に聖城のスタメンへと登り詰めた。
だからこそか、聖城メンバーからの信頼も大きい。
「よこせ、慧!」
そんな慧とは逆のサイドにいる蓮は、月野のカバーを察知するなり、即座にスクリーンを止め慧にパスを要求する。
『パス……来る!』
パスだと踏む月野。月野の体が少し蓮側に動いた瞬間、慧は一瞬のドライブに力を込め、月野を抜き去る。
レイアップの体勢に入った慧。その手に乗せられたボールは、ボードに――…当たらない。
「なっ、龍斗!?」
慧は足が地に着くなり上を見る。そこには少しばかり歯を食いしばった様子の、龍斗。
「俺、忘れんなよ!」
しかし龍斗が弾いたボールは、蓮の手に収まる。
蓮はボールを拾い上げるなり、フリーとなったミドルレンジからシュートを放つと、その放たれたボールは高軌道を描いてリングを貫く。
「ナイス!」
「おう!」
腕と腕をぶつけ合う慧と蓮。最早この二人を、止められる人物が居るのかと、疑問を抱きたくなる程だ。
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