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「よし、じゃあ楽しみますか!」
カケルの言葉に、威勢の良い反応を見せる四人。彼らは忘れていないだろう。一時も、試合を楽しむという初心の心を。
明昭のメンバーが、コート内にてアップを行う。最中、聖城のメンバーは滝原の元に集まっていた。
「いい? 手加減なんてみっともない真似はしちゃ駄目よ!」
それぞれが――…特に龍斗と蓮が、当たり前だと言う表情をして見せる。
「よし、勝つよ。スタートは変わらない。ディフェンスはマンツーで行く!」
「おぉ!!!!」
王者たる由縁――貫禄のある声は、一体化を遂げるなり聖城の体育館に散らばる。
そんな聖城の方を、カケル除いた明昭のメンバーは、唖然とした表情で見つめる。
チビ達バスケットボールプレイヤーに関しては、見惚れたと言う表現の方が正しいかもしれない。
「王者かぁ……」
タクが呟く。次には不意に、持っていたボールを落としてしまう。
「あ――…」
「はい、どうぞ?」
そこに偶々通りかかった咲。咲は、タクが落としたボールを拾い上げると、タクに手渡す。
「あっ、その……」
「試合頑張ってね」
弾けんばかりの、咲の笑顔。その笑顔に呆然とする――タク。
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