変わらない青空

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フリーのタク。 マークマンはどうしたと言いたくなるが、タクに付いていた純希はカケルのスクリーンによって、行く手を阻まれていた。 こうなったら行動は一つ。 シンはフリーのタクにパスを出す。スイッチした蓮が、タクのマークに行こうと、地を蹴り出すが時既に遅し。 タクはシューターならば、いやバスケット選手であれば一番確率が低いであろう、零度の位置からスリーを放つ。 「やられ……たね」 聖城ベンチでは、さほど焦る様子は見せない咲が、口を開いていた。 「基本に忠実って感じかぁ」 若菜は、数える程しか実行されていない明昭のプレーを思い出しながら、今慧達が思っているであろうことを、声に出す。 「龍斗、純希、少し早いけど、あれやるぞ!」 蓮からボールを受け取り、まだバックコート内に留まっていた龍斗と純希に、慧の声が掛かる。 ――あれ。 慧のその言葉に、二人は同時に頷く。次には、純希がハイポストに構え、大黒柱の龍斗はスリーポイントラインより外に構える。 親指、人差し指、中指。この三本指を立てた慧に、蓮と月野は中のスペースを開ける。 少しばかりの沈黙。 何をしてくるか分からない聖城のメンバーに、明昭のメンバーはジッと堪えながら行動を待つ。 「純希!」 そして、慧から純希にパスが出され、聖城の不可解なオフェンスが始まる。
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