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明昭のオフェンス。これと言って特別なことをする訳でも無く、落ち着いたチビが指示を出しながらパスが回されていく。
「こっち！」
「はい!!」
ナオにボールが渡る。そこでナオは、龍斗に体を預ける"感覚"で、即座に反転するとフックシュートを放つ。
ボールがリングに当たると、そこから歪な音が生まれる。無論、シュートは外れた訳で、反対方向に居る月野とシンの元にボールは飛んでいく。
身長では分がある月野。しかしボールは、シンの手によって掴まれていた。
「なっ!?」
驚きを隠せない月野を余所に、シンは落ち着きながらゴール下のシュートを決める。
「彼、ポジショニングが上手いわね……」
聖城ベンチ。
滝原は、顔をしかめながら、その六番を付けたシンを見つめていた。
「攻めるぞ！」
それでも流石は全国区。好手の切り替えは、プレーでも精神面でもピカ一と言える。
慧の檄に、統率された聖城メンバーは十八番速攻を展開する。
このアップアンドスローテンポなバスケットは、前副主将秋田が居た桜花（おうか）高校から盗み出した物であった。
今では立派に磨きの掛かった、通称シフトテンポは、聖城の武器の一つとも言えよう。
見事明昭の意表を突いたか、フィニッシュは純希が決め、再びディフェンスへと移り変わる。
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