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「チビ!」
落ち着いてチビに戻すカケル。蓮は、そんなカケルだけを睨みながらディフェンスの体勢を取る。
『突くなら…今か』
カケルは何かを決心すると、トップ・オブ・ザ・キーにて、チビにパスを要求する。
心配そうに蓮を見つめる慧。それは、慧だけでは無く聖城メンバーが蓮の様子を思ってのことだった。
しかし、例外も居た。
「蓮君なら……」
ベンチにて呟くのは、結衣。いつからだろうか、蓮を目で追うようになったのは。普段無愛想な蓮が、コートに立つと熱い一面を見せる。そして必ず栄光を手に、帰って来る。
それは、何よりも蓮の努力が凄まじいから。そして結衣が蓮を信じれるのは、その努力を一番近くで見守ってきたから。
「ねぇ、蓮君は夢とか無いの?」
以前、不意にこんな質問を蓮にした結衣。
「……ある奴を倒すこと…かな」
そう答える蓮の目線は、無邪気な笑顔を輝かせる、ある少年に向けられていた。
遠回しだが、結衣には伝わった。
蓮が目指す物。
それは、日本一の頂。
決して蓮の実力では不可能では無い。だからこそ、結衣は蓮の背中を叩いて鼓舞して見せた。
「蓮君っ! 頑張れ!!」
不意に叫んでいた。コート上でカケルと対峙する蓮に、結衣は精一杯の想いを乗せて叫んでいた。
あの時みたいに「おう」との返事は、返ってこない。
カケルが入れる小刻みなフェイクに、集中しているのだろう。蓮を抜きに掛かるカケルに、それに付いて行く蓮。
返事はプレーでと言いたいのか。蓮は、カケルのコースを見事に切る。
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