変わらない青空

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若菜が息を吹きこんだ笛は、蓮のファールを示し出す。 「ファール、白(聖城)五番(蓮)――カウント!!」 空を舞うボール。それは、ネットを小さく揺らすと、重力に従って地に落ちる。 聖城39-36明昭 あの蓮があっさり。メンバーの心中は、揺れていた。今や全国を代表するであろうフォワードが、名も知らぬ相手に敗北を喫してしまったのだから。 「橘……翔か」 ぼそりと呟く慧。 その強い視線は、先程から並外れたプレーをするカケルに向けられていた。 「タイムアウト、白」 ここでタイムアウト。少しばかり早かったかと、滝原は顔をしかめる。 出来ることなら、自力で立ち直って欲しかった。 それでも、何れは世界を相手に戦えるであろう教え子達が、練習試合で潰れてしまわぬよう、親身な気分でタイムアウトをコールしたのだ。 「何!! あのプレーは!」 だからこそ、怒鳴る。今の三年生達は、もう引退してしまう。しかし、これからのことを考えると――。 滝原は息を吸い、黙り込むメンバー達に、もう一度訊ねる。 「あのプレーは、何なの?」
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