変わらない青空

3/56
699人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
「日曜ったら四日後じゃん? 慧も出るの?」 その龍斗の問いに、滝原は微笑するなり結衣にアイコンタクトを送る。 「龍斗、質問は後でね。今から日曜日の説明をします。聞き逃さないようにね?」 最後だけ可愛らしく言う結衣に、蓮から溜め息が洩れ笑いが起きるが、結衣のオーラに黙り込むと、結衣は口を開く。 「相手は明昭高校。まだ部員が五人…全員二年生と、若いチームだけど、気抜いちゃ駄目だよ?」 「おう!!!!」 結衣の言葉に、部員全員が反応を示すと、結衣は更に口を開く。 「龍斗が訊いたデレデレカップル…いや咲は悪くないけど、慧は…土曜日帰ってくるみたいだから、連絡しといたわよ」 その言葉に龍斗は叫び、蓮は懐かしげな表情を浮かべる。 実を言うと慧と咲。この二人は、全国大会二連覇後、直ぐに沖縄に旅行しに行ったのだ。 初めて優勝した時は、あまりの嬉しさに忘れていたのか、今回は主将と言う立場をそっちのけで。 「ま、神藤先輩来るんだし、良いんじゃないっすか?」 文句を言う月野や、新城…所謂三年メンバーを諭すような言葉を発するのは、二年生にして聖城のSG(シューティングガード)を担う、右堂 純希(うどう じゅんき)。 三浦卒業後、オールラウンドな彼は、即座に慧からこのポジションを任されたのだ。 「良いよなー、アイツら」 未だに文句を言っているのは、月野 祐輔(つきの ゆうすけ)。190との長身に、柔らかなシュートタッチを身に付けた彼は、秋田の代わりにPF(パワーフォワード)を担っている。 その他、新城 透(しんじょう とおる)に篠山 彰(ささやま あきら)も、一年前と今では全く比べ物にならない程の実力を身に付け、聖城のベンチを賑わせている。 勿論、今二年生であるメンバーも――…新しく入ってきた一年生も。 「じゃあ、解散」 滝原の言葉に、副主将である蓮が頭を下げると、それに合わせて頭を下げる他メンバー。 皆が皆帰る中、龍斗と蓮は残っていた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!