7月15日

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―ゴツン 鈍い音が辺りに響き渡った。 それと同時に頭に激痛が走る。 おかげで暗闇から戻った俺の意識は完全に覚醒した。 「よくぞまぁ、君は一時間目から爆睡が出来るんだなぁ? 頬に憎たらしいほどに袖ボタンの後がついてるぞ」 「す、すいません。昨日夜更かしたもので」 「ふんっ、別に私は何も困らないからいいがな。 君みたいな落ち零れは…いや失礼。 少し本音が出てしまったようだ」 そう言って国語の教師の上江田は教卓に戻って行った。 有名大学を出たエリートかなんだかしらないがムカつく奴だな。 あんな野郎こそが人間の落ち零れだ。 そして、授業もきりがついた時チャイムがなった。 「今日の授業はここまでだ。 お前らも落ち零れになりたくなかったら予習、復習をするように。 委員長号令っ!」 号令が終わると皆は思い思いの場所に散っていった。 あの野郎最後に俺に目配せくれやがった。 俺はちっ、と舌打ちしてほうづえをつくと窓の外を見た。 外には、野球部によって整備されたたグランド、その周りには近住民に迷惑がかからないように緑のネットが設備されていて、その先には雲一つない青空が広がっていた。 そう言えば、誰かが俺に何かをいってたっけ? 確か、やくそくが…。 突然、聞こえた耳をつく様な声が意識を考えから背けさせた。 「裕也あんた、また馬鹿やったでしょ。 いい加減にこりなさいよ。 あんたのせいで先生の機嫌損ねたらあたし達までとばっちりがくるんだからね。 ちょっと聞いてんの?」 「うるせぇ、いきなり叫ぶんじゃねびっくりするだろ。 文句あるならあの馬顔教師に言え。 じゃあな」 俺は腕を枕にして俯せた。 それと同時に、風を切る音が聞こえたかと思うと又もや激痛が走った。 「いてぇなあぁぁぁぁっ! この暴力女がっ、まだ俺に用事かよ?」 「あんたっ、あれだけ寝たのにまだ寝るき。 信じられないっ!」 「信じられないのはお前の頭の方だっ! お前さっき俺の頭を教科書の角で殴りやがったなっ。 打ち所が悪かったらどうしてくれるんだぁ?」 「大丈夫、あんた石頭だからっ! それに、この位しないと裕也起きないじゃない。 自業自得でしょ」 「別に、俺が寝ようが寝まいがお前には関係ないだろうっ。 ほっといてくれ」 「ひっどーい。 せっかく起こしてあげたのにっ! そんな言い方ないでしょ」
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