‐file1‐浅木 沙夜

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目の前が、一瞬で真っ暗になってしまったようだった。 私は人を殺してしまった。 その現実が、後から後から押し寄せた。 が、思い出したのである。 いとも簡単に消せる命を、消しても良いという権利を。 「……そうよ、人を殺しても大丈夫だったんだ」 私は、神だ。 人を殺してもいい、ただ一人の救世主なのだから。 「アハハハハッ……。やっと殺してやったよ! ざまあみろ」 怖いなんて気持ちはなかった。なぜなら、救世主だから。 国を統べる、ただ一人の神なのだから。
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