‐file1‐浅木 沙夜

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着いた場所は、殺風景なものだった。 一脚のベンチに、薄暗く点滅する自動販売機。 「今日は何を買おうかな?」 私はそういいながら、自動販売機へと手を伸ばした。 誰もいないこの場所が、私にとって一番の場所。 誰もいなくて、静寂なこの場所は、私を落ち着かせるのだ。 自動販売機の内容も、かなりのもの。 ほかに売っていないレアものもあれば、昔馴染みのポピュラーものもきちんとある。 ――しかし、出会ってしまう。 「……?」 レモンジュースにしようとしていた、私の手は止まった。 右端の、一番下の段に不思議なジュースがあったからだ。 「ダーク……サワー?」 さすがにネーミングセンスが悪すぎる。 誰も飲む気になれないだろう。 しかし、人は好奇心があるもので、そのネーミングセンス悪いジュースが妙に気になった。 「一度だけ買ってみようかしら」 と、レモンジュースのボタンを押そうとしていた指は、ダーク・サワーへと滑った。 ポチッという軽い音がして、ダーク・サワーを一つ買う。
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