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七月六日――、流れる汗と、遠くから聞こえてくる沸き立つ様な歓声。時は、華英学園体育祭。
「ねぇ、俺の事好き?」
「…嫌い」
「あ、そ。そりゃ残念。俺はお前の事めちゃくちゃ好きなのに」
遠く離れたグラウンドを賑わす歓声すらも、掻き消しそうな程の緊張が襲った一時。ずっと想いを寄せていながらも素直になれず、すれ違っていた椎名から贈られた言葉。それはアタシと椎名が、特別な関係へと発展した一瞬だった。
あれから五ヶ月。アタシと椎名の関係は、誰もが憧れる理想カップル――…。
「おい。お前、俺にケンカ売ってんのか?」
…なわけがない。現実はそう、甘く物事が進む訳ではないのだ。
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