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「ごめん!!」
「これで何回目だよ」
「ほんっとに、ごめん!昨日、なかなか寝付けなくて…」
十二月と言うのに暖かな陽気に包まれている駅前の一角、アタシと椎名を取り巻く空気だけが、不自然な程冷ややかなのには理由がある。アタシが、毎度の事ながらデートに遅刻をしてくるからだ。
「昨日電話した時はむちゃくちゃ眠そうだったじゃねーかよ」
「う…実はその後、アイス食べたらお腹痛くなっちゃって…」
そして、付き合い出して五ヶ月も経つと言うのに、友達の延長の様な関係しか築けていないのも、アタシの女としてのポテンシャルの低さが原因なのだろう。
それとは対照的に、男気の上がった椎名に対する周囲の反応は良く、アタシという彼女の存在がありながらも、色めいた声が後を絶たず聞こえてくる。
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