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電車が動き出すと同時に、車両の後ろのほうから怒鳴り声が聞こえてきた。   何事かと振り返ると、何人かがひとつ後ろの車両を覗き込んでいる。   「ちょっと失礼。」   そういって彼等の間を掻き分け、ひとつ後ろの車両に踏み入れた。   「早ぉせんかい!」   車両を移ると同時に、先程聞こえてきた耳障りな大声に出迎えられた。   みれば車掌と40過ぎの男が向き合っている。 男はひどく酔っているらしく、顔は真っ赤で、何より数メートル離れたここまで酒の臭いが漂ってくる。
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