僕と球拾いと武道館

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思い出すなぁ。 あれは私が若干12歳の頃。 初めてギターを手にした時の事です。 TVで見たロックスターにときめきを覚え、 仲間を集めてバンドを組む事になりました。 じゃんけんぽんでパートを決め、 最後まで負けてた私は、 一番難しいと評判のギターに決りました。 それからというものの、 決まったからには遣り遂げるのが男というもの。 私は毎日血が吹き出る程練習し、 XJAPANの紅をひけるまでになりました。 しかし気付けば周りの友達は誰も居なくなっていました…。 部活のバレーで汗を流していたのです。   結局、女子にモテるには、 さわやかに汗をかいている方が良かったようです。 一応、私もバレー部員。 でも、どうしても行きたくなかったのです。 何度お腹を下した事でしょう。 何度親戚を殺した事でしょう。 何度虫歯の治療をした事でしょう。 そんなサボり常習犯の私も、 ついには逃げられず部活に出席せねばならない時がきました。 すると鬼コーチは私に向かってこう言いました。   「おい高橋、お前は女子の後ろで球拾っとけ」   まず、私は高橋ではありません!! 名前すらも覚えてもらえない存在になってしまっていたようです。 私は言われたとおり、女子の後ろでこっそり球拾いをしていました。 そんな私が、今日、日本武道館という素晴らしいステージに立っています。 それもすべて、支えてくれている皆様のおかげと存じます。 あぁ、幸せだなぁ。こんな幸せを一つずつ感じながら、生きていきたいです。 ♪何でもないようなことが幸せだったと思う~ 何でもない夜のこと二度とは戻れない夜~     ありがとう、 いい薬です(太田胃散)
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