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「良かった……落ち合えた」
安堵の表情を浮かべるフウタに比べ、眞季ちゃん(蒼ちゃんとの話でいくらか紹介されてるので自己紹介は省略する)は不愉快を通り越して清々しい程の馴れ馴れしさで触ってくる。
「へぇ男の子なんだ!嘘みたいだよ!私や蒼ちんより可愛い」
一応男である僕様に可愛いなんて言うあたり馬鹿にしてるのか真面目に言ってるのか。
おそらくは後者だろうけど。
「それで葵ちん。フウタって風間ちんのあだ名なんだよね?」
「そうだよ」
「じゃあ私もそう呼んでいいかなっ?」
フウタに抱き着く眞季ちゃん。
フウタは僕様の荷物を持っているから機敏に動けなく、されるがままだ。
顔を真っ赤にしてるあたり動揺してるのだろう。
「こうやって会えたのも何かの縁だ。一緒にホテルに戻らない?」
こう提案したのが蒼ちゃんで、
「いいんじゃないのか?俺は賛成する」
と言ったのがフウタ。
僕様としても再びはぐれてしまう事もないので従うことにした。
それにしたって……
「葵、大丈夫か?疲れてないか?」
本当、フウタは変に気が回る。
「少し疲れたよ。これだけ歩くのも久しぶりだからね」
「背負ってやるよ」
そろそろ限界なので言葉に甘えさせて貰おう。
背負われる僕様を見て何処か不安げに見てくる蒼ちゃん。
眞季ちゃんは一人で走り回ってる。
「どこか悪かったりするのか?」
「身体が極端に弱いのだよ。蒼ちゃん、気にしなくてもいいさ。いつもの事さ」
そうだ。いつもの事なんだから。
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