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十時間弱の空の旅も終わり、フランスに着いた時は調度昼過ぎだった。
なんだかんだで今回の件は半分以上は観光目的だからタクシーに乗り、パリに向かった。
向かったのはいいのだが、冗談抜きではぐれてしまった。
冗談が本当になるとは笑えないにも程がある。
見知らぬ人が行き交う中、僕様はうずくまっている。
フウタがいないと僕様は動けない。
人間恐怖な僕様は見慣れた人がいないと動けなくなる。というより吐いてしまう。
今でさえ吐き気を抑えるのに必死なのだから。
「どこいったんだよ、フウタ……」
目の前が回っている。
もう駄目だ。
「おろ?もしかしてもしかすると日本人?」
「?」
頭の上から声がしたから見上げてみると日本人の女の子がいた。
肩あたりまで伸びた黒髪が特長的。
「やあやあ、誰かな?僕様は今休んでいる所なんだけど?」
「誰かな?、っていう質問に答えると私は桜木蒼(さくらぎそう)、日本の高校で二年生だ。それで私がみた限りではあんたは連れとはぐれて途方にくれてるしか見えない」
「見事に当たりだよ。なかなか人は見かけで判断したら悪いようだ」
「喧嘩売ってるんなら殴るぞ?」
笑顔で言っているが本気のようだ。
フウタとは違ったタイプの直情型のようだ。
「で、蒼ちゃんはどうして僕様の現状が分かったのかな?」
「それは私も同じだからさ」
桜木蒼はハハハと笑う。
一度は流れた話しだが、急に気づいたように桜木蒼は聞いてきた。
「ちゃん付けって……あんた私の事女って気づいてたのか?」
「当たり前さ。何が可笑しいんだい?」
嬉しそうに頬を緩ませる桜木蒼。
「蒼ちゃん。外国の地でお互い日本人が困っているんだ。助け合わないかい?」
僕様としては渡に船だ。
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