パリ観察

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「あんた名前は?」 「闇火葵と言うよ」 「闇火か……」 「ああ、名前でいいよ。僕様としても呼ばれ慣れないからね」 「そ、そうか?」 少し焦った風な桜木蒼。この娘も面白そうだ。 「葵の連れって彼氏か何かか?」 少し照れたように言うあたりその手の話しには免疫がなさそうだ。 それよりもまた勘違いしてくれた人が現れた。 「僕様が女の子に見えるかい?」 「へ?」 「どうだい?調べてみるかい?僕様が女かどうか」 しばらくして僕様が言った言葉の意味を理解したのか顔が真っ赤になる。 「葵ってお、男なのか?!」 ああ面白い。 こういった信じていたものが瓦解した時のなんとも面白い。 「そうだよ。それより蒼ちゃんの連れってのはどんな人かな?」 ただからかっているだけだとフウタも見つからないから話を切り上げることにした。 「友人なんだけど一言でいうならお気楽ちゃんだな」 「へぇ。もう一つ質問だけどなんでフランスに?」 「ただの旅行。学校サボったのはまずったけどね」 「僕様も似たようなものだな。もっともサボりはフウタの方だけだけど」 「フウタ?」 「僕様の連れさ。運が良かったら君の友人と出会っているかもよ?」 というより絶対出会っている。フウタはトラブル体質だから。 僕様はその事を考えながら笑っていた。
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