真実 ~前編~

28/44
前へ
/366ページ
次へ
……ちょうどその頃、クラウドは林の中をひたすら突き進んでいた。 そしてフレイはそれを追う形で、クラウドの少し後ろを歩いている。 「クラウド、無闇に移動しない方がいいって!」 「あのままジッとしてても状況が変わんねぇだろ。こっちから動かねぇとな」 「それも一理あるけどさ……」 クラウドを止めようと話しかけるフレイだったが、クラウドはフレイの言葉を聞いても眉一つ動かすことなく、一定のペースで歩を進めていく。 先ほどから何回か繰り返されていることだが、やはり意志を曲げようとしないクラウドを前に、フレイはため息をつくしか他ならなかった。 (もしかしたら、先生達から遠ざかってるかもしれないのに……。 それに、もし魔物が出たら……) フレイは目の前のクラウドの後ろ姿を見ながらそう思案する。 どうやらガルディアと同じ考えのようで、魔物との遭遇を一番気にしているようだ。 「……おいフレイ」 と、そんな中……歩みを止めようとしなかったクラウドが、突然歩みを止めた。 それに少し遅れて、フレイも同じように歩みを止める……。 「何?」 そして呼ばれた意味を理解するために、クラウドを見ながらそう促す。 すると、クラウドは方向転換してフレイと向き合う形になり、真剣な表情でフレイと視線を合わせながらゆっくりと口を開いた。 「お前……一体何者なんだ」 「…………」 ……クラウドの問いに対し、フレイは口を閉じて黙り込む。 その様子を見たクラウドは微笑しながら腕組みをし、再び問い詰めるために口を開く。 「いい加減分かってんだよ、お前が並みの奴じゃないってことくらいよ。 模擬戦の時のアレも学園側のミスなんかじゃねぇ……正真正銘お前の魔法なんだろ?」
/366ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14242人が本棚に入れています
本棚に追加