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……ちょうどその頃、クラウドは林の中をひたすら突き進んでいた。
そしてフレイはそれを追う形で、クラウドの少し後ろを歩いている。
「クラウド、無闇に移動しない方がいいって!」
「あのままジッとしてても状況が変わんねぇだろ。こっちから動かねぇとな」
「それも一理あるけどさ……」
クラウドを止めようと話しかけるフレイだったが、クラウドはフレイの言葉を聞いても眉一つ動かすことなく、一定のペースで歩を進めていく。
先ほどから何回か繰り返されていることだが、やはり意志を曲げようとしないクラウドを前に、フレイはため息をつくしか他ならなかった。
(もしかしたら、先生達から遠ざかってるかもしれないのに……。
それに、もし魔物が出たら……)
フレイは目の前のクラウドの後ろ姿を見ながらそう思案する。
どうやらガルディアと同じ考えのようで、魔物との遭遇を一番気にしているようだ。
「……おいフレイ」
と、そんな中……歩みを止めようとしなかったクラウドが、突然歩みを止めた。
それに少し遅れて、フレイも同じように歩みを止める……。
「何?」
そして呼ばれた意味を理解するために、クラウドを見ながらそう促す。
すると、クラウドは方向転換してフレイと向き合う形になり、真剣な表情でフレイと視線を合わせながらゆっくりと口を開いた。
「お前……一体何者なんだ」
「…………」
……クラウドの問いに対し、フレイは口を閉じて黙り込む。
その様子を見たクラウドは微笑しながら腕組みをし、再び問い詰めるために口を開く。
「いい加減分かってんだよ、お前が並みの奴じゃないってことくらいよ。
模擬戦の時のアレも学園側のミスなんかじゃねぇ……正真正銘お前の魔法なんだろ?」
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