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「暴力女が……暴力女が襲って……ぐっ……」
「…………」
……苦しそうに寝言を言うクラウド。
それを聞いたリオナは、クラウドの肩を掴もうとした寸前でピタリと止まった。
「……くっ……プフッ……!」
同じく寝言を聞いていたライルは口に手を当て、リオナから視線を逸らして必死に笑いを堪えている。
……やがて、場の危険を察知したらしく、様子を見ていたフレイとガルディアは、顔を引きつらせながら後ずさりし始めた。
「ライル~……ゆっくり死にたい? それとも手っ取り早く死にたい?」
「へ?……ちょっ、ちょっと待て!
俺は何にも言ってないだろ?
怒りの矛先が間違ってるってっ!」
「だって……あんた今笑ったじゃない」
「そんな理不尽な理由で!?」
ライルの方を向いてニコニコしながら言うリオナ。
それを見たライルは一瞬にして青ざめ、あたふたし始めた。
「リ、リオナ……とりあえず落ち着こうよ!
ほら、今は依頼の最中なんだし……ね?」
そんな状況をマズいと思ったらしく、暴走しかかっているリオナの目の前まで行き、ライルを庇うフレイ。
すると、リオナは少しポカンとした後にムスッとした表情を浮かべ、次に腕組みをしながら空を見上げる。
それから間もなくしてため息をつくと、クラウドの方を向いた。
「まあ……それもそうね。
こんな呑気なことしてる場合じゃないわよ……ねッ!!」
「……ッ!!!」
……そしてそう言いながら、クラウドの頭を思いっ切り殴る。
殴られたクラウドはその場でしゃがみ込み、震えながら頭を両手で抑えた。
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