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「え~……それではこれから、世に広がる『魔法』についての復習授業を行う」
あれからしばらくして、三人の言い争いはリオナがライルとクラウドの頭を殴ることで、理不尽にも幕を閉じた。
そして再び歩き始めた一同は、ガルディアを最後尾にした形で今まさに授業を始めるところである。
「魔法といっても、その単語からいくつもの科目に枝分かれしている。
今回はその中でも重要で基礎の『魔力の源について』、『魔法の発動方法』、『術の種類について』を復習したいと思う。
……聞いてるか? そこの二人」
前方の四人を見ながら話していくガルディア。
しかし、その中で面倒くさそうな表情を浮かべている二人……ライルとクラウドを見るなり、ため息混じりで呼びかけた。
「はぁ……何でこんな時にも授業受けなきゃ……」
……どこか遠くを見ながらブツブツ呟くライル。
「ったくよ……そんな基本的なこと、何で今更……」
……腕組みをしながら、ふてくされた顔でブツブツ呟くクラウド。
同じように面倒くさがっているといっても、どうやらその原点が違うようだ……。
「ウダウダ言ってないで、ちゃんと真面目に聞きなさい。
復習は大切なことなのよ?」
二人を見るなり、呆れた様子で言うリオナ。
……すると、面倒くさそうにしていた二人は同時にリオナを横目で見始めた。
「……な、何よ……っ」
視線に気づいたリオナは、そんな二人を交互に見る。
「はぁ……勉強好きはいいよな……」
「……全くな」
リオナを数秒見た後、再び視線を戻して言う二人。
犬猿の仲であるに等しい二人の意見が合った、初めての瞬間だった。
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