14242人が本棚に入れています
本棚に追加
「まあ感覚が掴めてないお前にとっては、そんな知識も無駄に等しいけどな」
……そんなライルを見て、頭を抑えたまま嘲笑するクラウド。
その言葉を引き金に、またもやライルは怒りを露わにして突っかかろうとする。
「こら、いちいち喧嘩をするんじゃない! 全く……」
「先生っ! 喧嘩を売ってくるのはクラウドだ!
叱るならクラウドだけにしろよ!!」
「別に俺は喧嘩を売ってるわけじゃねぇぜ? 思ったことをハッキリと言葉にしてるだけだ」
「その言葉の内容が、かんに障るって言ってんだよッ!」
「はぁ……お前ら、少しは落ち着いたらどうなんだ?」
……今度はガルディアを含めての言い争いが始まってしまう。
というよりも、言い争いをしている二名をガルディアが止めているといった方が正確な表現だろう……。
そして、少し離れたところでその様子を見ているフレイとリオナ。
リオナは額を手で抑えながら呆れたようにため息をつき、フレイは真剣な表情でライルを見据えていた。
(……ライルの使い魔はアースエルフ。エルフの種族は最低でもレベルⅢ以上あるって、前にティアラが言ってた……。
レベルⅢ以上っていうことは、契約者……つまりライルの魔力量が、少なくとも普通より優れているってことになるんだ。
でもライルの実力は学年最下位。やっぱり何かあるんだろうか……)
顎に手を当てて、ライルについて思考を張り巡らせるフレイ。
その横で未だ三人を見ていたリオナは、しばらくしてフレイの様子に気づいたらしく、不思議そうな表情で凝視していた。
「……えっと……じゃあ次に『術の種類』についてを、クラウド……」
「……何で俺が……」
しばらくして、疲れきった様子で説明を促すガルディアと、それを疲れきった様子で拒否するクラウド。
先ほどの言い争いで余程疲れたのか、二人共少し俯き気味だった。
そしてもちろん、言い争いの根元であるライルも、少し離れたところで元気なく俯いていた。
最初のコメントを投稿しよう!