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「待て、いくら下位とはいえ魔物は魔物だ。
危険だからお前達は下がって…」
「それはできません。私達の依頼内容は、先生の『護衛』ですから……」
ガルディアの言葉を遮り、険しい表情で身構えるリオナ。
それに対してガルディアは厳しい顔つきで口を開き、何かを言おうとする。
……ちょうどその時だった。
数メートル離れた林の中から直径一メートル程の火球が出現し、未だ周りを見渡しているライルに向かって勢いよく飛んできたのだ。
「う、うわぁっ!!」
突然のことにどうしていいか分からず、うろたえるライル。
……しかし結果として、火球はライルに直撃することはなかった。
「ライル! あんたは邪魔だから先生と一緒に下がってなさい!!」
そう言い放ち、ライルの前に立って火球と向かい合ったのはリオナ。
次に素早く両手を前に突き出すと、呟くように詠唱を行う。
それから一秒と経たない内に、リオナの前に小さい透明の液体が現れたかと思うと、すぐさま展開していき壁のような形へと変わっていく。
そして間もなく火球がその壁に衝突し、火球は水蒸気と共に消滅していった。
「これは……火属性の下級魔法。ってことは……」
「恐らくリオナの予想通りだな。
集団で狩りをする習性を持っていて、さらに隠れて攻撃するような臆病な性格……そこに火属性魔法ときたら、『ゴブリン』で間違いないだろう」
魔法を解いたリオナの言葉を継ぐように、そう判断するガルディア。
そしてその後、真剣に身構える三人を見ると深くため息をついた。
「……まあ、お前達なら大丈夫か。
この場は任せるが、あまり派手にやり過ぎないように」
「大丈夫だっての!
へへっ……即見つけて消してやるぜッ!!」
……ガルディアの言葉を聞くなり、すぐに一部の林の中へと向かっていくクラウド。
それと同時に、フレイもクラウドとは別の林の中へと消えていく。
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