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「……お前は行かないのか?」
「あんたが居ると先生の足を引っ張っちゃうでしょ?
だから、私はここで攻撃を防ぐわ」
身構えたまま動こうとしないリオナを見て、不思議そうに問うライル。
そして、リオナから返ってきた言葉を聞くなり何とも言えない表情になった。
……一方その頃、林の中ではフレイとクラウドがそれぞれ動き回っていた。
「見つけたぜッ! まず一匹ィ!!」
対象である魔物を見つけたらしく、クラウドは立ち止まって数十メートル離れた場所に居る後ろ姿のゴブリンを見据える。
それに気づいたゴブリンは、驚いた様子で振り向いてクラウドを見ると、警戒心を剥き出しで向き直って身構えた。
……一見人型をしているように見える姿は、やはり人間とは程遠く、全身一メートル程で黒いローブのような物を羽織っており、肌の色が全身緑色。鋭く尖った耳。
クラウドを睨んでいるその瞳は深紅に輝いている。
「まあそう睨むなって……暴力女みてぇな奴だな」
微笑しながら身構え、ゴブリンに近づいていくクラウド。
対してゴブリンは、両手を大きく横に広げて何やらブツブツ唱え始める。
すると、一瞬にしてゴブリンの前に小さな水球が現れた。
そして水球はその大きさだけには留まらず、徐々に大きさを増していく。
「水属性……?」
やがてクラウド以上の大きさになった水球。
それを見るなり、クラウドは怪訝そうに表情を変える。
……その瞬間、ゴブリンの手元から勢いよく水球が放たれた。
そのスピードは衰えることなく木々をなぎ倒し、徐々にクラウドに迫ってくる。
「ったく、面倒くせぇ……ッ!」
すると、それに対して避けるどころか、クラウドは水球に向かって走り出した。
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