14242人が本棚に入れています
本棚に追加
そして片手をグッと広げ、手の平に魔力を集中させていく……。
「“スパーク・ブラスト”!!」
魔法の名称と共にクラウドの手の平に出現したのは、黄色く光る一メートルもない大きさの球体。
それをすぐに迫り来る水球へと投げつけた。
すると、一瞬にして水球へと直撃したかと思うと、それから凄まじい雷音と共に光が辺り一面を包み込む。
その眩しさからか、ゴブリンは思わず片腕で両目を塞いだ。
……それからしばらくして恐る恐る片手を降ろすと、既に光が収まっていることを確認する。
そして、それと同時にゴブリンが確認したのは、薙ぎ倒した木々とその周りに立ち並んでいる林の木々だけだった。
クラウドは何処へいったのか……怪訝に思ったゴブリンは、周りを見渡して警戒しながら一歩を踏み締める。
……その瞬間。
「“発動”」
ゴブリンの後ろから聞こえたクラウドの声。
ゴブリンはすぐさま振り向き、見渡して探し始める。
しかし、それと同時にゴブリンの足元に広がった、黄色に光る魔法陣……。
「遅いっての」
足元の魔法陣に戸惑うゴブリンは、途端に声のした方を向く。
すると、そこには太い木の枝の上に立っているクラウドの姿。
……それから何をするわけでもなく、ゴブリンは魔法陣から放たれた雷の柱の中に消えていった。
「……はぁ、魔法二発も使っちまうなんてよ。
次からは一撃で決めるか……」
やがて雷の柱も消え、クラウドは上を向きながらため息をつくと、次の標的を見つけるために動き出した。
最初のコメントを投稿しよう!