真実 ~前編~

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「クラウド……ゴブリン達の異変に気づいた?」 二人で肩を並べて歩いている最中、しばらくしてフレイが真剣にそう問いかけた。 その問いに対し、クラウドはフレイを横目でチラリと見ると、再び前を向いて口を開く。 「当たり前だろ? 気づかない方がおかしいぜ。 魔物生態学の調査によりゃあ、確かゴブリンは火属性しか使えねぇはず……なのに、ぶっ倒した奴は全部違う属性を使ってやがった。しかも下位のクセに中級魔法。 ……それに加え、魔力をハッキリ探知することができねぇしよ。どうなってんだ一体」 ふと上を見上げ、怪訝そうな様子でため息をつくクラウド。 そんなクラウドを見るとフレイは俯き、顎に手を当てて思考を張り巡らせ始める。 (やっぱりクラウドが倒したゴブリンもか。 ……そういえば、前に異常な大きさの魔物と対峙したっけ。下位とはいえ、あれも様子がおかしかった。 何だろう……何か凄く嫌な予感が……) 「……おい、フレイ」 魔物について深く考えていた最中、突然隣からフレイを呼ぶクラウド。 それによって現実に引き戻されたフレイは、すぐにクラウドの方を向いた。 「な、何?」 そして呼びかけた意味を問うため、真っ直ぐ前を向いて歩いているクラウドにそう聞いた。 すると、クラウドは突然歩みを止める。 それを不思議に思いながら、同じようにフレイも歩みを止めた。 ……ジッと黙っているクラウドと、ジッと待っているフレイ。 黙ったままのクラウドを怪訝に思い始めたフレイは、もう一度問いかけるべく口を開こうとする。 が、その前にクラウドがフレイの方を向いたので、開こうとしていた口を再び閉じた。
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