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「クラウド……ゴブリン達の異変に気づいた?」
二人で肩を並べて歩いている最中、しばらくしてフレイが真剣にそう問いかけた。
その問いに対し、クラウドはフレイを横目でチラリと見ると、再び前を向いて口を開く。
「当たり前だろ? 気づかない方がおかしいぜ。
魔物生態学の調査によりゃあ、確かゴブリンは火属性しか使えねぇはず……なのに、ぶっ倒した奴は全部違う属性を使ってやがった。しかも下位のクセに中級魔法。
……それに加え、魔力をハッキリ探知することができねぇしよ。どうなってんだ一体」
ふと上を見上げ、怪訝そうな様子でため息をつくクラウド。
そんなクラウドを見るとフレイは俯き、顎に手を当てて思考を張り巡らせ始める。
(やっぱりクラウドが倒したゴブリンもか。
……そういえば、前に異常な大きさの魔物と対峙したっけ。下位とはいえ、あれも様子がおかしかった。
何だろう……何か凄く嫌な予感が……)
「……おい、フレイ」
魔物について深く考えていた最中、突然隣からフレイを呼ぶクラウド。
それによって現実に引き戻されたフレイは、すぐにクラウドの方を向いた。
「な、何?」
そして呼びかけた意味を問うため、真っ直ぐ前を向いて歩いているクラウドにそう聞いた。
すると、クラウドは突然歩みを止める。
それを不思議に思いながら、同じようにフレイも歩みを止めた。
……ジッと黙っているクラウドと、ジッと待っているフレイ。
黙ったままのクラウドを怪訝に思い始めたフレイは、もう一度問いかけるべく口を開こうとする。
が、その前にクラウドがフレイの方を向いたので、開こうとしていた口を再び閉じた。
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