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「先生っ! じゃあ二人は……」
「落ち着けリオナ、そんなわけがないだろう?
クラウドが強いってことは、同学年であるお前が一番よく知っているはずだ。
それにフレイも、クラウドに勝るとも劣らない実力を持っているみたいだしな」
リオナの不安を吹き飛ばすかのような笑顔で答えるガルディア。
すると、少し不安が和らいだらしく、リオナはゆっくりと頷いて胸の前で両手を握りしめた。
(……とはいえ、確実に大丈夫と言い切れるわけじゃない。ゴブリン達の他にも魔物が居る可能性があるからな。
フレイも居ることだし、大丈夫だとは思うが……。
まあ考えられるとしたら、探知できない程遠くへ行ったか……何者かに妨害されているか……)
心配そうにするリオナを見ながら、ガルディアは様々な思考を張り巡らせる。
……と、そんな中、ガルディアの視界に不思議そうにリオナを見つめるライルの姿が入った。
「ライル、どうした? そんなにリオナを見つめて」
笑顔でライルにその意図を聞くガルディア。
すると、ライルはガルディアへと視線を移して口を開いた。
「いや……やっぱりこいつ女なんだな~って」
「……ライル、あんた本当に死にたいらしいわね」
ライルの言葉にピクリと反応したリオナ。
そして俯いていた顔をゆっくりと上げ、怒っているのか笑っているのか分からない表情でライルを見た。
「へ? い、いやいやいや! そんなわけない……じゃないですか……。
今のは褒めたんであって、決してけなしたわけでは……」
「問答無用よ、覚悟しなさい」
「ちょっ!」
……拳を作ってライルを追うリオナと、そんなリオナから必死に逃げるライル。
その様子を見て苦笑した後、ガルディアは静かに微笑みを浮かべた。
(ライル……いい仕事をしたな……)
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