真実 ~前編~

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少しずつ……確実に寄ってくる、二つの大きな魔力の根元。 そしてそれは、既に精神を研ぎ澄まさずとも感じ取れる程に近づいていた。 (この大きさ……下位クラスで収まるものじゃない。少なくとも中位……いや、これは……!) 「……なあフレイ、勝負しねぇか?」 フレイが警戒を解くことなく考えを張り巡らしていると、突然クラウドがそんなことを言い出す。 言葉を聞いたフレイはすぐに考えるのを止め、怪訝そうに表情を変えて耳を傾けた。 「勝負……?」 「魔物をどっちが先に殺るか……。 もしそれで俺が勝ったら、お前の正体を明かしてもらう。 そしてお前が勝ったら……もうお前のことを探ったりしねぇし、疑うこともしねぇ。 どうだ? これでさっきの話にケリがつくだろ」 言い終わると、クラウドは不適な笑みを浮かべて低く身構え始める。 それに対しフレイは、とっさに真剣な顔つきになって口を開く。 「クラウド、今はそんなことをしてる場合じゃない! ルーツから溢れ出てる、この尋常じゃない魔力……もしかしたら…」 「何だよフレイ、ビビってんのか? 上位だろうが何だろうが関係ねぇ! ただブッ潰すだけだ!」 慎重に言葉を紡いでいくフレイだったが、クラウドはそれに耳すら貸さず嘲笑して遮る。 そして同時に足を踏みしめ、自ら魔物へと近づくために走り出した。 「ッ!? クラウド! 今動いたらッ……」 フレイはそんなクラウドを引き留めようと声を出すが、やはり聞く耳を持たず、クラウドは林の中へ消えていく……。 そして、それに対してフレイは険しい顔つきになると、後を追うように自身も走り出した。
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