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……さらに場面は移り変わり、現在クラウドは魔力を辿って林の中を駆け巡っていた。
徐々に強くなっている魔力を肌で感じつつ、これから挑む相手に対して武者震いが止まらない……そんな心境の中、クラウドは確実に魔物へと近づいている。
「……この気配、すぐそこか……」
どうやらハッキリと根元を捉えたらしく、スピードを上げて不適に笑う……。
それから数分と経たない内に、クラウドは林を抜けて再び平原へと出た。
……そしてすぐに立ち止まると、目の前に広がっている光景にただ驚愕する。
「……あれは……ウルフェン……?」
クラウドの数十メートル先に居るのは、狼に一本角が生えた全長一メートル程の『ウルフェン』という下位クラスの魔物……。
しかし、クラウドが疑問符を付け足したように、確証が得られないのが事実。
何故ならその二体のウルフェンの全長は、フレイがいつか対峙した時と同じく通常の三倍の大きさ……つまり三メートルは確実に越えていたからだ。
……別方向を向いていたウルフェンらは何者かの存在に気づいたらしく、あちらこちらと匂いを嗅ぐ仕草を見せた後に、ゆっくりと顔をクラウドの方へと向けた。
そして低く唸りながら、間もなく体全体をクラウドへと向け、その赤い瞳で鋭く睨みつける。
(さっきのゴブリンといい、こいつらといい……最近の魔物は突然変異が流行ってんのか?)
とっさに身構えて、微笑しながらも睨み返すクラウド。
頭では余裕を保とうとしているが、体の方はそんなものなど微塵もなく……多少ながらも冷や汗が滴り落ちていた。
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