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「はぁっ……はぁっ……あの二人、どれだけ体力あるんだよっ……!」
「…………」
汗を拭いながら走り、ヘロヘロな状態でガルディアとフレイを見るライル。
そして、そんなライルより前を走っているリオナも同じように汗を拭う。
……しかしその表情は真剣で、先ほどからフレイだけをジッと見ていた。
(あの時の女……フレイが神聖の焔だって言ってたわよね。
……とてもじゃないけど信じられないわ。
だって、気が弱くて優柔不断なフレイが……いや、でも……)
リオナはフレイのことについて様々な思考を張り巡らせる。
神聖の焔との繋がりがどうしても信じられないようだが、その時頭にフラッシュバックしたのは、模擬戦の時に見せた真剣な表情……そして、使い魔召還の時に見せた真剣な瞳。
「…………」
……途端にリオナは頬を赤く染める。
しかしすぐに顔をブンブンと左右に振り、混乱している頭の中を一度リセットする。
(と、とにかく実際に魔法使うのを見てみないと……っ!
って、そういえば模擬戦の時に一回見たっけ……でもあれは学園側の不注意って聞いてるし……)
「そこの二人、しっかりついて来てるか?
もうすぐクラウドの居る場所に着くから警戒を怠るなよ!」
……その時、前方から聞こえてきたガルディアの声が、リオナの思考を中断させた。
間もなくその言葉の内容を理解したリオナは頷きながら返事をし、その後に続いてライルも返事をする。
(……そうだった、今はクラウドの奴を助けないとね。
あいつなら大丈夫だとは思うけど……)
リオナはすぐに思考を切り替え、不安気な様子で前を見る。
……すると、周りにあった木々は徐々に無くなっていき、やがて景色がすっかりと変わった。
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