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延々と広がり、所々にポツポツと木や草が生えている平原。
そして、その平原で行われていたのは……あまりにも一方的な戦い。
「……っ!!」
自然と立ち止まった四人の内、リオナは悲痛を受けて目の前の光景をただ見据えた。
……今にも飛びかかりそうな体勢で全身の毛を逆立て、低く唸って肩を並べている二体のウルフェン。
そんなウルフェンに睨まれているのは、肩で苦しそうに息をしているクラウド。
その姿はとても痛々しく、ボロボロの衣服を身に纏い、所々見えている肌には戦いで受けた生傷……。
そして右腕の袖には血が滲んでいて、それを左手で強く抑え、口の端から流れる血を気遣うことなく歯を食いしばっている。
「クラウドッ!」
「クソッ、間に合え……ッ!」
リオナとライルが状況をしっかりと把握する頃、フレイとガルディアは既に走り出していた。
フレイは両手に魔力を込めて詠唱をし始めるのに対し、ガルディアは片手だけに魔力を込めてフレイより先にウルフェンへと向かっていく。
『……!』
自分に近づいて来る存在に気づいたらしく、一体のウルフェンは身構えるのを止めてガルディアの方へ体を向けた。
それに少し遅れて、もう一体のウルフェンもガルディアの方を見る。
「……ガルディア……」
そんなウルフェンらの様子に気づいたクラウドも、視線をそちらへと移す。
そして向かって来るガルディアを見てそう呟いた後、力が抜けたように膝をついて、そのまま倒れ込んでしまった。
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