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その倒れた音に反応したウルフェンらは、一度ガルディアから視線を外し、倒れたまま動かないクラウドをチラリと見る。
この時ウルフェンらの次の動作として、二体ともガルディアの方を向けば最良だった。
……が、事はそう上手く進んではくれない。
未だクラウドの方に体を向けていたウルフェンが、そのままクラウドへと歩き出したのだ。
その行動を見たもう一体のウルフェンは、仲間にクラウドの始末を任せて再びガルディアへと向き直る……。
「“エア・ブロウ”ッ!!」
……その刹那。
ウルフェンはガルディアを視界に入れる前に何か大きな力を横腹に受け、抗う暇もなく強く吹き飛ばされた。
やがて吹き飛ばされたウルフェンは空中ですぐに体勢を整えると、間もなく四足で着地。
横腹に受けたダメージが浅いのを瞬時に確認すると、先ほどまで自分が居た場所を睨む。
「かなり威力を高めたつもりなんだが……効いてないみたいだな」
ウルフェンが居た場所に身構えて立っていたのは、険しい表情でウルフェンに睨み返しているガルディアだった。
……クラウドにウルフェンらの視線が移った僅かな間、ガルディアは詠唱を終えると同時に、両脚にも魔力を集中させ始めた。
それは一秒もかからずに完了し、移動速度を一瞬だけ速める下級魔法を発動。すぐにウルフェンの横へと辿り着く。
そしてウルフェンがガルディアが居た方向を向くと同時に、威力を高めた中級魔法を発動。
凄まじい勢いの風が取り巻いている片手で、ウルフェンの横腹を殴りつけたのだ。
『……!!』
魔法を喰らわせた時の音に反応したもう一体のウルフェンは、クラウドの近くまで来た所で足を止めて仲間が居た場所へと目を向ける。
しかしそこに立っていたのは、より遠くにいる仲間と対峙している後ろ姿のガルディア。
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