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何故仲間が居た場所に敵が立っているのかは分からないが、これは絶好のチャンス。
ウルフェンは攻撃目標を変えて、体を低く身構え、ガルディアに飛びかかろうとした。
……しかし、それはもう一人の敵によって阻止される。
「“フレイムブレス”ッ!!」
突然横から聞こえた魔法の名称。
それに素早く反応したウルフェンは、とっさに聞こえてきた方へと視線を向けた。
……眼前には、凄まじい熱気と同時に迫り来る紅蓮の炎。
今すぐ避けなければならない。
そう思うより先に体が動いたのだが……それでもその炎から逃げることはできなかった。
『グオォオォォォォォッ!!』
一瞬にして炎に飲み込まれたウルフェンは、必死に炎を消そうと暴れ回り、クラウドから徐々に離れていく。
「……クラウド! しっかりして!」
そしてウルフェンに魔法を浴びせたフレイはその隙にクラウドへ走り寄っていき、上体を起こして意識があるか確認をとった。
しかし、呼吸はしているものの、クラウドからの反応はない。
それから二、三度繰り返してはみるが、やはり反応は見られない。
「魔力を使い過ぎたのか……。
あの時もっとしっかりと止めていれば……」
フレイは自分を責めながらもクラウドの腕を自分の首にまわし、肩を貸してゆっくりと立たせた。
そしてふと炎に包まれているウルフェンを見ると、先ほどよりもかなり炎が消えていて、ゆっくりと息を整えている。
「くっ、もう動けるのか?
外見だけじゃなく、能力も底上げされてるなんて……」
「フレイっ! クラウドの様子は!?」
ウルフェンの様子を見て焦り始めるフレイ。
……と、そんな中、呼びかけながらフレイに近づいてきたリオナ。
そしてライルもその後に続いている。
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