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フレイは何も言わず、事の成り行きを見守ることにした。
女性二人の威圧感に、ライルは一瞬怖じ気づく。しかし、やはり今回ばかりは譲れないものがある。
「そ、それにしたってよ! この多さはねぇだろ!?
俺たちの手だけじゃ絶対無理だって!」
「……分かってるわよ。
っていうか、もともと持つつもりだったし」
何を思ったのだろうか。
リオナはチラリとフレイを見た後にため息をつき、置いてあった紙袋を両手に抱え込む。
続いて、それを見たフィリスも、慌てながら持てるだけの紙袋を両手に抱え始めた。
ライルはその様子に拍子抜けするが、すぐに「わ、分かればいいんだよ」と言って自分も荷物を拾っていく。
「……フレイ様」
「? どうしたのティアラ」
三人にならうフレイに話しかけたのは、いつの間にか荷物を抱えているティアラだった。
返事をしてから数秒後のこと。
しまったと思い、フレイはティアラの荷物を受け取っていく。
「ご、ごめん! これも修行のうちだよね?」
「いえ、今日だけは特別に許しましょう。お声をかけたのは別件です」
そう言われ、しばらく固まってから思わず首を傾げた。
そして口を開く。
「別件?」
「はい。この建国祭に、リオナさんをどのように誘ったのかを話してください。
言い漏らしがないよう事細かに」
「それじゃテキトーに店探そうぜー!」
……ライルを先導に皆が動き出しため、仕方なく歩きながら会話することに。
互いを見失わないようゆっくりとしたペースで進んでいく中、二人は前の三人に聞かれないよう、顔を近づける。
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