日常~後編~

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やがて話し終えると、ティアラは少し考えた後、微笑ましくリオナの後ろ姿を見つめた。 「……ふふふ、なるほど。そういうことですか」 「えっ? な、なにか分かったの?」 「いえいえ。 ただ、フレイ様が一人でお気づきになるのは難しいかもしれませんねぇ」 ティアラの言葉に、フレイは首を傾げるばかりだった。 間もなくして五人はレストランに入り、店員の案内で席につく。 机上に置いてあったメニューを開き、みんなで料理を選んでいる最中。 フィリスが店内をチラリと見て話し出した。 「ここって、いつもはこんなに人居ないよね」 「まあお祭りだし、混むのは当然じゃない? あ、私これにしよっと」 リオナはそう答えながら、料理の絵を一つ指差す。 すると、それを見たライルは意外そうに口を開いた。 「へー、結構ガッツリ食うんだな」 「……別にいいでしょ。お腹減ってるんだもん……」 リオナは不機嫌かつ恥ずかしそうに身を引くと、顔を隠すように俯いてしまった。 その時だった。 隣に居るティアラから黒いオーラが。 「ライルさん……?」 「は、はい!?」 「女性の気持ちを察してくださいね」 「へ?」 ライルの間の抜けた返事を聞き流し、今度はフレイの方に視線を向けるティアラ。 「フレイ様。 フレイ様は、たくさん食べる女性をどう思いますか?」 「えっ? どうって……別にいいんじゃないかな」 突然の質問に驚くフレイの返答を聞いて、リオナは俯きながらもホッと安堵する。 そして、そんなリオナを横目で見ていたティアラは……。 (……これはもう確定ですね……)
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