日常~後編~

11/12
14241人が本棚に入れています
本棚に追加
/366ページ
時は過ぎ。運ばれて来た料理を完食したフレイたちは、食休みに会話を楽しんでいた。 その間もこっそりと、ティアラはリオナの言動に注目している。 「あれ? リオナちゃん?」 そんな中。談笑を遮るかのように、複数人の男子を率いた茶髪の男が現れた。 それに気づいたリオナはハッとして、フィリスの影に隠れる。 「やっぱりそうだ! リオナちゃん家の用事終わったんだ。じゃあ俺と一緒に遊ぼうよ」 「ど、どなたでしたっけー……」 男はヘラヘラ笑いながら、お構いなしにグイグイと割り込んで来るが、リオナはあくまでしらを切っている。 「うわぁ……めんどくせ」 「ライルこの人知ってるの?」 一方で、完全に蚊帳の外に置かれている二人は、ひそひそと気づかれないように状況を見守っていた。 フレイが質問すると、ライルは頷いて耳打ちを始める。 「ああ、自分大好きの成金野郎……三年の先輩だよ。ちょっと金持ちだからって、三大名家を勝手にライバル視してるんだ。 でもリオナには特別優しくて、出会うたびに口説いてる。 実力無いくせに自信満々だから、ある意味ノーブルよりたちが悪い」 ……説明を聞き、フレイは苦笑せざるを得なかった。 王国グローリーベルグには、有名だと謳われているものが幾つか存在している。 立派な外観の『グローリーベルグ城』をはじめ、『神聖の焔』に『盛んな商工業』、『ルネッセオ魔法学園』。 『国の矛と盾』といわれている『ギルド調査隊』と『王国騎士団』。 そして『三大名家』。 名の通り、魔法に長けた優秀な人材を世に送り出していて、勢力、地位など全てが最高峰の家柄である。 それぞれディセイン家、リヴァンツェ家、フェリスタン家と並んでいるのだが……。 一般家系から一つ抜き出ている程度の財力だけでは、その足元にすら及ばないだろう。 「……へー、よく見ると隣の子も可愛いね。それにこの人も美人だなぁ。 よし決めた! 三人一緒に遊ぼう!」 「あ、あの……ちょっと待ってください」 流石に身勝手過ぎると感じたらしく、フレイはなるべく丁寧さを意識して話しかけた。
/366ページ

最初のコメントを投稿しよう!